気仙沼の海のあじ、山のあじ 第3回

香り際立つ黄色い果実「大島産柚子」

おすすめ 2020/11/16

豊かな自然に囲まれている気仙沼は、とれたての海の幸、山の幸が集まります。海と山がどちらも近いということは、とれたばかりのおいしさが味わえるということ。
季節が移り変わり、寒くなってきてから、雪が降り始めるまでの今の時期に旬を迎える「柚子」は、冬の鍋料理にもぴったり。第3回目の今回は、気仙沼の冬の食卓を彩る「大島産柚子」をご紹介します。

▲夏の日差しを浴びて秋に黄色く実る柚子は、大島の特産品です。

「太平洋に浮かぶ緑の真珠」と詠われる気仙沼大島。この土地で柚子を育ててきた小山さんの柚子畑には、空と海の青色と、柚子畑の緑色、そこに点々と柚子の黄色が映える美しい景色が広がっています。30年前から柚子の栽培を行なっているという小山さん宅には、現在約300本ほどの柚子の木があるそうです。

▲祖父の代から育てている柚子畑で収穫する小山良彦さん。

全国的な柚子の産地としては高知県や徳島県といった南西の地域がよく知られていますが、ここ大島はかつて「北限の柚子」と呼ばれた産地でした。(現在は、北限はもう少し北の岩手県に移りました。)
柚子栽培を始めた当初「実がなるまでには10年はかかる」と言われたものの、柚子は寒さに強く、4、5年で柚子が収穫できるようになり、大島の地元の特産品として定着していきました。

▲柚子畑の向こうに見える海。震災の津波も畑までやってきました。

大島は東日本大震災の際、細長い島の東西から押し寄せた津波で、島内は一時南北に分断され、山火事も起きるなど甚大な被害を受けた場所でした。小山さんの家や畑も例外ではなく、大きな津波被害を受け、震災後にはのべ1万人ほどのボランティアが訪れたと言います。

▲毎年気仙沼市の学校給食に無償提供されている柚子。

ボランティアと一緒に災害復旧を続けるなか、小山さんは地域の子供たちが地産品に触れる機会をと、柚子栽培を始めた当初から、柚子収穫の体験学習や、給食に柚子を無償提供するなどの活動を続けてきたことを思い出しました。「こどもたちに渡してきた『柚子』が、ボランティアという人になりかわって助けにきてくれたのかもしれない」と、助け合う優しさの循環を感じたそうです。


震災で九死に一生を得た今、小山さんの家族の中に深く刻まれているのが、小山さんの母・由紀子さんがいつも自分のこどもたちに伝えてきた「奇跡は起こる。どんな場面でも生きなさい。」という言葉です。その力強い言葉を借りれば、大きな災害のあったこの大島に、こうしてまた美しい柚子畑が見られることもまた「奇跡」なのかもしれません。


小山さんのオススメの柚子の食べ方は、柚子をスライスしたり、細かく刻んで、砂糖や蜂蜜につけておき、お湯で割って飲むことだそうです。ジャムにするよりも手軽に楽しめ、体も温まるおいしい飲み物ができます。お試しください!

大島産柚子
収穫時期
10月〜雪が降るまで
味の特徴
爽やかな香りと酸味
購入できる場所
JA菜果好
生産者
小山良彦さん
大島産柚子が楽しめるお店
▲BAR PRISM の大島ゆずサイダー¥550(税込)。
店舗名
BAR PRISM
住所
〒988-0037 宮城県気仙沼市魚市場前4−5 みしおね横丁