豊かな自然に囲まれている気仙沼。生産現場に関わるみなさんの声とともに、四季折々の「海のあじ、山のあじ」をご紹介していきます。
今回ご紹介するのは、気仙沼市本吉町で栽培されている「大谷いも(おおやいも)」を生産している「おのでらふぁーむくらぶ」さんにお話を伺いました。
戦後日本一の伝説イモ
戦前から、気仙沼や南三陸はジャガイモの一大産地として知られていました。当時の栽培面積は大谷地区だけで約40ヘクタールにおよび、東京市場まで運ばれ、さらには戦後初の輸出農産物として、香港にも出荷されたと言われています。
昭和28年には、大谷の頭の「大」の字をとった「丸大印」の馬鈴薯は、「品質と味の良さで日本一」と言われるようになり、市場を席巻していました。
しかしその後、北海道に日本一の座を奪われると、丸大印の馬鈴薯の生産数は下火に。しばらくの間幻となっていた「丸大印の馬鈴薯」ですが、2021年の「道の駅大谷海岸」リニューアルに合わせ、このジャガイモ栽培を復活させようという動きがおこりました。
海藻を畑の肥料に。
こうして、2020年から「丸大印の大谷(おおや)いも」を復活させようと、ブランド芋栽培に取り組むようになりました。
「特産品として打ち出していくためには、他のジャガイモとの差別化をはかる必要がありました」と振り返る、おのでらふぁーむの代表 小野寺さん。
そこで、着目したのが、当時から行われていた「畑に海藻を入れる」手法。海藻を肥料として使用することによって、海藻のミネラル成分を畑に取り込むことで、この地ならではのじゃがいもができると考えました。
小野寺さんによると「まだ、正確な効果や成分については分析中(2023年7月現在)ですが、食味アンケートをとったところ、海藻を使用したもののほうが味や食感が良いという結果がでています」とのこと。
また、定置網に付着した海藻や、商品にならないワカメの茎や葉の部分を使うことで、本来廃棄していたものを有効活用することになるため、環境にもやさしい栽培を行うことができます。こうして2020年から道の駅大谷海岸で大谷いもの販売が開始されると、「伝説のいもが復活」と話題を呼び、現在は販売初年度の3倍以上となる約1.71トンの販売実績があります。
農産物も名物に
「魚だけでなく、農産物でも名物となるものができたら」と考えている小野寺さん。
大谷いもは、道の駅大谷海岸の産直コーナーで販売されている(収穫時期のみ)ほか、ファーストフードを提供する「はまカフェ」で「ジャケットポテト」という商品が販売されています。ジャケットポテトは、焼いた皮付きじゃがいもに、たっぷりの食材を乗せたフードメニュー。「塩辛×めかぶ×バター」「サバ×サルサ×チーズ」「ツナ×コーン×ホワイトソース」の3つの味が楽しめます。
海の恵みをたっぷりととりこんだ伝説の味「大谷いも」を、ぜひおためしください。
大谷いも
- 収穫時期
- 6月末~8月上旬
- 特徴
- 海藻を畑の肥料に使用。ほくほくとした食感。
- 生産者・生産場所
- 気仙沼市本吉地区
- 生産者・生産場所
- 気仙沼市本吉地区
大谷いもが食べられるお店
- 店名
- 道の駅大谷海岸内 「はまカフェ」
- 電話番号
- 0226-44-3180
- 住所
- 気仙沼市本吉町三島9
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