気仙沼ホルモン探偵の調査レポ

ローカルフード「気仙沼ホルモン」とは?

 こんにちは。10月から一般社団法人気仙沼地域戦略でインターンシップをさせていただいている大学4年生の大前陶子です!

 気仙沼といえば海鮮がおいしいイメージの人も多いのではないでしょうか。確かに気仙沼の海鮮は本当においしくて毎日食べても飽きないくらいです。

 そんな中、もうひとつの気仙沼のグルメといえば「気仙沼ホルモン」。実は私も気仙沼に来て初めて知りました。そんな「気仙沼ホルモン」の謎を解明するべく、気仙沼ホルモン探偵として、実際に食べに行き調査に行ってまいりました!

<目次>
1.気仙沼ホルモンとは?
2.気仙沼ホルモンの歴史
3.「気仙沼ホルモン」を提供するお店 5選!
4.最後に

「気仙沼ホルモン」とは?

気仙沼ホルモンには以下の3つの特徴があります。

お店や人によって食べ方や味付けは異なりますが、ベースはこのような感じです。

・なぜ千切りキャベツと一緒に食べるのか

 昔は、遠洋漁業の船乗りさんが久しぶりに帰ってきた港で野菜不足を補うために気仙沼ホルモンを注文の際、一緒にキャベツの千切りを出したと言われているようです。(焼肉くりこさんのHPより引用)

・なぜウスターソースと一緒に食べるのか

 一説によると、三重県出身の方が当時景気のいい気仙沼に引っ越してきてホルモン屋さんを始めたようです。三重県では豚肉のステーキにウスターソースをベースにした味付けをしたものがあります。気仙沼ホルモンにウスターソースの組み合わせは、ここに関係しているようです。(焼肉くりこさんの店内のチラシの「気仙沼ホルモンの歴史」より引用)

 また、その当時ウスターソースが流行りの調味料で何にでもかけていたという時代の流行りの影響という説もあります。

「気仙沼ホルモン」の歴史

 どうして気仙沼でホルモンなの?と思った方も多いのではないでしょうか。

 今回、その謎を解明するべく気仙沼ホルモンに詳しいコヤマ菓子店の小山裕隆さんにお話を伺いました!

 小山さんからお話を聞いて「気仙沼ホルモン」としてのブランドを確立するために、地道な努力や若者の気仙沼に対する強い思いがあったことがわかりました。

 気仙沼でホルモンが普及したのは遡ると80年くらい前のこと。気仙沼には食肉処理場があり、そこでは豚の内臓は基本的には廃棄していたようです。三重県から来ていた漁師さんが気仙沼に来た際に、賄いで安く手に入れることができたホルモンを食べていました。その美味しさに感動し、これは儲かるぞと考え屋台で販売したのをきっかけに、ホルモンのおいしさが伝わり、どんどんと屋台や固定のお店も増えていきました。市民にもホルモンのおいしさが浸透し、お花見などの季節のイベントやお家で楽しむまでになったそうです。

 このような経緯でウスターソースと千切りキャベツで食べるホルモンは気仙沼のソウルフードになりました。

 さて、今回お話を伺った小山さんは今から20年くらい前に一度離れていた気仙沼に帰って来られました。しかし、気仙沼の若い人が「気仙沼には何もない」「気仙沼から出たい」と言っているのを聞き、自分たちで楽しみを作りたいと考え、有志5人で「気楽会」という団体を作ったそうです。その中で、地域の魅力を掘り起こし発信したいと考えた際に、ホルモンの存在に目をつけました。

 そこで、現在の「気仙沼ホルモン」の特徴に当てはまる気仙沼市内のお店を食べ歩き、取材を行い、気仙沼ホルモンのマップを作ろうということになりました。マップを作るのには大変な苦労もあったようです。気仙沼の人にとってはホルモンを食べることが当たり前で、それをわざわざマップにまとめるといったことは、お店の方にとっては不思議で、何度も断られたお店もあったそうです。資金がないためイベントで屋台を出し、その売り上げを印刷費にしたり、デザインもすべて自分たちで作ったりと多大な時間をかけて気仙沼ホルモンマップが完成しました。「気仙沼ホルモン」として知名度を上げていくために、「気仙沼ホルモン」に似たようなソウルフードがある地域のイベントに行き、食べ比べ対決にも参加したそうです。

気楽会の気仙沼ホルモンMAPダウンロードページより引用

 そんな地道な努力があり、気仙沼だけではなく、仙台や東京にも気仙沼ホルモンのお店ができ、確実に「気仙沼ホルモン」として知名度を上げ、地域の魅力の一つになっていきました。

 今では地元の方が気仙沼のグルメとして紹介したり、気仙沼ホルモンというのぼりを出していたり、地元の方が思う気仙沼の魅力になっているのではないかなと感じました。

 そして若い人の地元に対する強い思いが人を動かし、地元の方の誇りになっていることは気仙沼全体の魅力になっていると感じました。

 もう一つ、お話を聞く中で印象に残っているのは、自分たち自身で楽しんで行っているということ。やらされているのではなく、自分たち自身が楽しみながらやっている姿に魅力を感じ、周りの人が協力をしたくなるのではないかと思いました。

※気仙沼ホルモンの歴史は諸説あります。

 そんな奥深い「気仙沼ホルモン」について知ったところで、おすすめしていただいた「気仙沼ホルモン」のお店を5つ紹介します!

「気仙沼ホルモン」を提供するお店 5選!

①ホルモン道場

とっても美味しそうな匂いを(BRT大船渡線、市内路線バス「気仙沼市役所前」から徒歩3分のところにある)昔ながらの商店街に漂わせており、近くを通るたびに気になっていたお店。それがこちらの「ホルモン道場」。噂には聞いていたものの、なかなかお店に入る勇気がなかったのです。今回、小山さんに連れて行っていただき、噂のホルモンを食べることができました!

お店に入ると炭火で燻され、茶色くなっているポスターがあり、昭和の雰囲気を感じてタイムスリップしたようなワクワク感がありました。

メニューはシンプルにドリンクとお肉のみ。驚いたのが価格。価格も昭和のままで止まっているのではないかと少し心配になるくらい安い!

早速、ホルモン(いわゆる「気仙沼ホルモン」)を注文すると、七輪とキャベツが

運ばれてきて「お、始まるぞ」とワクワクしながら、千切りキャベツにソースをかけて準備完了。

いよいよ「気仙沼ホルモン」が運ばれて来て、焼き方や食べ方を教えていただきました。

炭火のいい匂いと美味しそうな見た目に早く食べたい気持ちを抑えて焼き上がるのを待ちます。

いい感じに焼き上がったところで、ウスターソースをかけた千切りキャベツと一緒にいただきます!

炭火で焼かれているため嚙み切りやすく、にんにくが効いていて美味しい。

他にもタンやハツをいただきましたが、分厚く切ってあり安いのにおいしい!無敵です!

そして、もうひとつの名物?が焼酎の梅酒割。注文すると焼酎の瓶と梅酒の瓶を持って来られ、グラス並々に焼酎を注ぎます。あれ?梅酒で割るのでは?と思っていると、焼酎を飲んだ分、梅酒を入れてくださいます。私は濃かったので薄めて飲むという反則をしてしまいました笑ぜひ、勇気がある方は挑戦してみてください!

地元のファンの方も多いようで地元に愛されているお店です。お肉が出る前に寒天ゼリーを持ってきてくださったり、途中に漬物を持ってきてくださったり、そんなお店の小さな心遣いからも愛されている理由がわかった気がします。

初めて気仙沼を訪れた方は、なかなか勇気がいるかもしれません。しかし「ホルモン道場」ののれんをくぐってしまえば、その美味しさや雰囲気に虜になることまちがいなしです。

最後に1つだけ訪れる際のアドバイスです!炭火を使うため全身燻されるので、お店に行く際は洗濯しやすいまたはどうでもいい服で行きましょう。

②気仙沼ホルモン発祥の店 焼肉くりこ

大きく「気仙沼ホルモン発祥の店」と書かれた看板に歴史の長さを感じ、ワクワク、期待が高まります。

他の美味しそうなお肉も気にはなりますが、もちろん最初は気仙沼ホルモンを注文。

早速山盛りのキャベツと気仙沼ホルモンが運ばれてきます。

いい感じに焼けたところで千切りキャベツとウスターソースと一緒にいただきます。

「うん、気仙沼ホルモンだな」と思ったのと同時に「あれ、この前のホルモン道場さんとはまた違うな」と思いました。

しっかりと味が染み込んだ気仙沼ホルモン。噛めば噛むほど旨味が出てくる感じでした。その裏には焼肉くりこさんのこだわりが詰まっています。

創業以来、初代からの変わらない秘伝の味を引き継ぎ、決して妥協しない仕込みを続けておられます。気仙沼ホルモンの仕込みには3時間ほどの時間をかけ、ホルモンのぬめりや臭みを丁寧に取ります。また、お湯を使うと臭みが出てしまうため真冬の氷点下の仕込みでもお湯を使わずに丁寧に洗います。

そして新鮮さにもこだわっておられます。気仙沼ホルモンは主に岩手県産を使用し、新鮮な気仙沼ホルモンを提供するために、店内で売れる分のみ仕込み、防腐剤、保存料、着色料は一切入っていないようです。

美味しさの裏には店主の妥協しないこだわりと安全で美味しいものをお客様に食べていただきたいという強い思いがあることがわかりました。

そんなお話を聞くとこんなに美味しいものをこの価格で食べてもいいのかと思ってしまい、「いただきます」「ごちそうさまでした」に気持ちがこもります。

「気仙沼ホルモン発祥の店 焼肉くりこ」について詳しくはこちらからご覧ください▼

https://kesennuma-kanko.jp/yakiniku-kuriko/

③マトン牧場

今回はランチで「気仙沼ホルモン」を食べに行きました。

マトン牧場さんは初めはジンギスカン焼肉から始まって、50年続いているようで、現在の店主で2代目だそうです。

駐車場の一角には存在感のあるバッファローが現れるためすぐにお店を見つけることができました。そしてお店の入り口には可愛らしい羊や豚、牛が描かれており、厳ついバッファローからの緩い動物たちに一気に和み、少し緊張していた気持ちも払拭され、気持ちよく店内に入りました。

お店に入ると広々とした空間に半個室の席が並んでいます。半個室なので周りを気にすることなく、焼肉を思う存分楽しむことができると思います。

ランチは安いとは聞いていたのですが、それでもメニューを見てびっくり。

ランチ限定定食H定食(気仙沼ホルモン)は750円(税込)。気仙沼ホルモンにキャベツ、ご飯、豚汁がついてきます。ご飯もお茶碗2杯分くらいあり、豚汁も具沢山で大満足のランチです。優しい豚汁があることで多いかなと思っていた気仙沼ホルモンも飽きることなく、ぺろっと食べることができました。

気仙沼ホルモンには後付けもできるタレがついていて、味の濃さはご自身の好みで調整して食べることができます。見た目は辛そうなのですが食べてみるとそうでもなく、食べやすいお味でした。お好みでレバーを除いて注文することもできます。

マトン牧場さんのこだわりは、醤油や味噌は気に入ったものを使い、配合にもこだわっておられます。そして国産の豚とにんにくを使用しておられます。

お客様に喜んでいただきたい、また来ていただきたいという思いで、美味しいお肉を提供する「マトン牧場」さん。そんな思いが伝わり岩手県などわざわざ遠くから来てくださるお客さんもいるのだとか。

味や空間など、様々なところから感じることができる一人一人を思いやる気遣いに、温かみを感じます。複数人でもお一人でも思う存分美味しいお肉を楽しむことができる焼肉屋さんではないかと思います。

「マトン牧場」について詳しくはこちらからご覧ください▼

https://kesennuma-kanko.jp/mutton_bokujo/

④亀山精肉店

今回はお家で気仙沼ホルモンを楽しみます!気仙沼にはいまだに昔ながらの米店と精肉店が多い気がします。(特に米店はどこにでもあり、内湾あたりでも5店舗くらいはあります、、、)

そんな中、今回購入したお店は地元の方々に紹介された気仙沼で80年以上続く老舗精肉店「亀山精肉店」です。そして、もうひとつこちらのお店を選んだ理由は、「気仙沼ホルモン鍋」という気になる商品があったからです。

早速お店に入ると綺麗な赤色の美味しそうなお肉たちがショーケースにずらり。

そして、美味しいお肉を使用したお弁当などのお惣菜も並び、夕食前にお腹が鳴ります。

誘惑が多いですが、今回の目的を思い出し、気仙沼ホルモン(味噌)と気仙沼ホルモン鍋(味噌)を購入しました。

まずは気になっていた気仙沼ホルモン鍋を作ってみました。

材料は、袋に記載のキャベツ・ニラ・豆腐・もやしを用意しました。

作り方はとっても簡単!簡単に言うと水に全ての材料を入れるだけ!

まずは水に気仙沼ホルモンを入れて強火で沸騰するまで待ちます。

沸騰したら中火にして10分ほど煮込み、キャベツ・豆腐・もやしを入れます。

食欲をそそるニンニクの匂いにより一層お腹が空きます。待ち遠しい!

そして再び沸騰したらニラを入れて弱火で2分待てば、気仙沼ホルモン鍋の完成です!

もうお腹が限界のところでやっといただきます!

分量通りで少し味が濃いかなと思いましたが、くたくたになったキャベツの甘みとマッチしていい感じでした!私は鍋でも野菜多めが好きなので、記載の分量よりも多め(キャベツ1/8玉のところを1/4玉)で作りましたが、ちょうどよかったです。今回2〜3人分の気仙沼ホルモン鍋を購入しましたが、大人2人分かなと思います。(気仙沼ホルモンの量はあるので、野菜を記載の分量より増やしてもいいかなと)

最後はお待ちかねのしめ!

私はごはんとたまごでいただきました。わかめとのりも追加して、たまごを入れるとマイルドになり、優しいお味で無限に食べれそうでした。

また違った気仙沼ホルモンの楽しみ方で、冬はぜひ食べたいですね。塩味もあるので次はそちらも食べてみたいです。

博多で有名な「もつ鍋」とはどう違うの?思った方もいるかもしれません。私は「もつ鍋」を食べたことがなく、比較ができないのでぜひご自身で確かめてみてください笑

続いては「気仙沼ホルモン」をお家のフライパンで楽しみます。早速、気仙沼ホルモン(味噌)を中火で熱したフライパンに投下します。一気に美味しそうな匂いが部屋に充満します。

汁気がほとんどなくなるまで焼いたら完成です!(一瞬ですね)

今回はお家なので盛りだくさんの千切りキャベツといただきます。

フライパンで焼いたため煮込みっぽくなり、まろやかで美味しかったです。汁気が気になる方は、焼肉の際に一味違ったアクセントに気仙沼ホルモンを買って持って行ってもいいでいいかもです!今回300gで購入しましたが、気仙沼ホルモンをメインで食べて2人分くらいです。ぜひご参考までに。

配送も行っているようなので、気仙沼にはなかなか遠くていくことができないという方もぜひご自宅で気仙沼ホルモンを楽しんでみてください!

亀山精肉店について詳しくはこちらからご覧ください▼

http://www.kesennuma-horumonhonten.com

▲ご自宅用の気仙沼ホルモンは、通販サイト「気仙沼さん」でも購入することができます!
⑤ホルモン お福

ついに気仙沼ホルモン探偵調査も最後となりました。そんな最後にふさわしい、気仙沼ホルモンでとっても人気のお店「ホルモン お福」に行きました。

周りにお店がなく、少し分かりにくい場所にありますが、お店の外にまでお肉のいい匂いを漂わせているため、嗅覚が敏感な方は辿りつけるはずです。

 

店内に入ると、ずらっと並んだメニューや味のある年季の入った七輪が昔ながらのいい雰囲気を感じワクワクします。

早速メニューに書かれたホルモン(いわゆる「気仙沼ホルモン」)を注文。

注文すると七輪、千切りキャベツ、ウスターソース、そして「ホルモン お福」オリジナルのたれが運ばれてきました。

そして運ばれた気仙沼ホルモンはこれまでの気仙沼ホルモンと比べると色が薄く、どんなお味か気になります。

火力があるため結構早く火が通るので、焦げないようにご注意ください!

いい感じに焼き上がったところで、お福のたれをかけていただきます。

炭火で焼いているため、炭火のいい風味があります。味付けは優しいお味なので、お好みでお福のたれをかけたり、ウスターソースをたっぷりかけた千切りキャベツと食べたりしてもいいかもしれません。

炭火やオリジナルのたれといった、こだわりを持ったここでしか食べることができない、「気仙沼ホルモン」を味わうことができました。

最後に

これにて気仙沼ホルモン探偵の任務は完了です。ここまでお読みいただきありがとうございました。

「気仙沼ホルモン」のことを知れば知るほど、食べれば食べるほど、それぞれのお店がこだわりを持ってご提供されていることがわかり、奥深いなと感じました。

もちろん、今回取り上げたお店だけでなくまだまだ美味しい気仙沼ホルモンを提供するお店がたくさんあります。

ぜひ、皆さんも気仙沼ホルモン探偵となり、調査してみてください!

ご自身のお好みに合ったお気に入りの「気仙沼ホルモン」を探してみてはいかがでしょうか。

▲インターン大前さんの体験レポ記事はこちら