豊かな自然に囲まれている気仙沼。生産現場に関わるみなさんの声とともに、四季折々の「海のあじ、山のあじ」をご紹介していきます。
今回ご紹介するのは、気仙沼が水揚げ日本一を誇る「メカジキ」です。大型近海延縄船、第81大喜丸を保有する、大喜水産の前田晃壽社長にお話をお伺いしました。
メカジキ本来のおいしさを。
メカジキは、気仙沼では「メカ」と呼ばれ、刺身にしても、煮ても焼いてもおいしく、骨からも良い出汁が取れるため、捨てるところのない魚とも言われています。
また、1年を通して流通しているため、地元民には馴染み深い魚です。特に10月〜3月頃の冬メカは、本マグロに負けないくらいに脂と旨味がありますが、まだまだ全国的には知られていません。鮮度が良ければ生食用として出回るものの、足が早いことからその割合は少なく、ほとんどが気仙沼市内や近場での消費に限られることも理由の一つです。
気仙沼出身ではない前田社長はメカジキにあまり馴染みがなく、かつてはその「独特の匂い」も気になっていたそうです。
現在、大喜丸が水揚げするメカジキには、そういった嫌な匂いや、えぐみがなく、メカジキ本来のおいしさを味わうことができます。「大喜丸のメカジキを買いたい」と都内のレストランから指名買いされることもあるそうです。
そのおいしさの理由は、水揚げしてすぐに船上で行われる魚の処理にありました。
船上での処理で鮮度を保つ!
前田社長が「船は一番最初の工場」と話す大喜丸には、船上で魚の鮮度を保つための処理ができる装置が搭載されています。
まず、網からひきあげたメカジキはすぐに「ナノバブル洗浄」という手法で滅菌されます。そして、丁寧に一匹ずつ保存シートで包むことで、高い鮮度を保ちながら港まで運ばれていきます。つまり「港に到着してから工場に運ばれて処理をする」ものよりも、大喜丸のメカジキは、圧倒的に早い段階で処理されていることになります。その鮮度の高さを表すエピソードとして「(大喜丸のメカジキは)輸送のトラックにも魚臭さがつかない」という販売店の声もあがっているとか。
「こういった処理をしなくても、メカジキの値段は変わらないんです。でも船名シールを貼って販売するということは、獲った人の顔が見えるのと同じ。だから、ごまかしはしません。船の上できちんと手間暇をかけて処理をしているから、うちのものはおいしいです」と前田社長は自信を持っておすすめしています。
「食べてみればその違いが一番わかる」ということで、実際に大喜丸のメカジキを頂きました!
刺身にしてみると、脂がたっぷりのっているのに、後味は軽く、何枚でも食べられてしまうことに驚きます。
しつこさもなく、魚臭さも全くなく、魚の旨味と甘さだけが口いっぱいに広がり、これがメカジキの本来のおいしさなのかと感動するほどです。
また、塩コショウをして焼いただけで、身がホロホロと柔らかく仕上がり、メカジキの脂もとろけるような旨味に変化しました。まさに極上のメカジキのおいしさでした。
前田社長のおすすめは、メカジキのしゃぶしゃぶ「メカしゃぶ」です。刺身で食べても美味しいメカの身を鍋にくぐらせて「レア」状態を楽しみます。火の通し方で変わるメカジキの味わいを堪能できる、贅沢なメニューです。
このメカしゃぶの他、冬(10月〜3月)の時期には、大喜丸の入港タイミングで、海の市で即売会が行われることもあります。気仙沼にお越しの際、もし「大喜丸のメカジキ」を見かけたら、ぜひその味をお試しください!
大喜丸のメカジキ
- 水揚げ時期
- 通年
- 味の特徴
- たっぷりと脂が乗り、旨味がたっぷり。魚臭さがない。特に冬メカ(10月〜3月頃の時期)は脂の乗りが最高になる。
- 購入できる場所
- 阿部長商店 海の市店(入港のタイミングで入荷することがあります。)
- 生産者
- 大喜水産 第81大喜丸
大喜丸のメカジキが食べられるお店
- 店名
- 新富寿し
- 住所
- 宮城県気仙沼市東新城1丁目13-3
- 電話番号
- 0226-23-7475
- ホームページ
- https://shintomisushi.com/
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