このコーナーでは、気仙沼の市民の方に先生としてご登場いただきます。今回の先生は、武山米店の武山せい子さん。気仙沼ならではの食べ物「おふかし」について教えていただきました。
それではせい子先生、よろしくお願いいたします!
気仙沼の「おふかし」とは
一般的には「おこわ」と呼ばれているごはんを、気仙沼では「おふかし」といいます。
ふかすから、丁寧語をつけておふかし。3年前におこわ屋を始めた時、「おこわって言われでも分がんねでば。『おふかし』だすぺ?」と言われることしばしば。
ご年配にはおふかしの方が通じるようです。そして、
「昔はよぐ作ったんだけんとねぇ」
と遠い目で語る方も。
仮設住宅暮らしでは蒸し器を置くスペースがなく、わざわざ新調してまで、という方も少なくなかったようです。最近は減りましたが、以前はみんなで持ち寄って食べ比べするほど、気仙沼では家庭の味として親しまれている料理です。
もち米は日持ちも腹持ちもよく、ついて乾燥させれば保存食にもなりますから、昔は貴重な食材だったようです。おふかしはとくに、ハレの日の特別なご馳走として振る舞われました。
慶事では小豆やささげを入れ赤く仕上げて、およろこびを、より華やかにします。
逆にお彼岸やお盆の仏事には白ささげやクルミを入れた「しろぶかし」。地味な色合いで仕上げます。
結婚式場や葬祭場がなく、冠婚葬祭を家でやっていた頃は、どの家にも5升くらい蒸せるセイロがあったとか。
出来上がったおふかしは蓋つき桶「ほげ」に入れて振る舞ったそうです。
普段の日はタケノコや栗など旬の素材をまぜたり、五目にしたり。気仙沼では甘納豆で赤飯をつくる家もあり、引き出物の甘くない赤飯にショックを受けたという話も聞きます。
では、おふかし作り方をご紹介します。
「おふかし」の作り方
1.もち米を一昼夜水に浸しておく。
2.もち米をザルにあげて水気を切り、具とよく混ぜる。
3.強火でふかす。
4.湯気があがったら「シトブチ」する。
古語の「湿(しと)」が由来で、「しと打ち」が訛ってしとぶちになったんだとか。もち米全体にお湯や調味液を回しかけながら全体を混ぜる、いわゆるふり水です。
5.10分おきに上下をひっくり返しながら混ぜる。
というのも上下で蒸気の強さが違うので、もち米にまんべんなく蒸気が行き渡るようにひっくり返します。
6.タイミングを見計らってしとぶちを数回繰り返す。
水分を補って、かたさを調整します。
火にかけて出来上がるまで40分位です。
ちょっと手間はかかりますが、赤子泣いてもフタが取れない炊飯と違い、おふかしは仕上がり具合を確かめながら調理できます。
誰でもおいしいおふかしが作れますので、ぜひ試してみてください。
武山米店で販売しています!
自分でつくるのはちょっと、という方はどうぞ当店へ。
さまざまな旬の素材をまぜこんだおふかしを提供しています。
いまの時期は、気仙沼特産のホヤ。
獲れたての身を具に、ホヤのだし汁でシトブチしながら、旨みをたっぷり吸わせています。
毎週火・水・木曜日、その日の分だけふかし、売り切れ御免でございます。
旬の具材のほか、定番の五目など何種類か取り揃えております。
- 店名
- 武山米店
- 電話
- 0226-22-0266
- 営業時間
- 月曜日~土曜日 9:00~18:00(おこわ販売は毎週火・水・木曜日 10:00~売り切れ次第)
- 定休日
- 日曜
- 住所
- 気仙沼市魚町1-1-13
気仙沼の市民の方に先生としてご登場していただく
「教えて〇〇先生!」シリーズはこちらからご覧いただけます。
https://kesennuma-kanko.jp/category/marumarusensei/
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