
2.地元の魚屋さんに聞く 「メカジキの魅力」
「メカジキの魅力を尋ねるならこの方!」と、地元の漁師さんたちからも確かな目利きと評判の「マグロ専門店カネマ」の小野寺さんにお話をお聞きするべく、直営店のある「さかなの駅」に来ました。
おぉー!たくさんの魚がずらりと並んでいます。カネマさんは、さかなの駅入って直ぐ右手側に店舗があります。
「カネマのマグロちゃん」が目印です。お店に来たら見つけてみてください。
わー!メカジキだけでもたくさんの種類が並んでますね!県南の方ではメカジキだけでこんなに多様な品揃えは見たことがないのでワクワクします。1つひとつの厚みも凄い…。左上のこの大きなブロックも港町ならではですね。しかしこの時点(15時)で冷蔵庫の中の半分以上が売れてしまっている状態。お店で買い物をする時は午前中めがけて来るとよさそうです。
ここカネマさんはマグロ類を専門に販売しています。気仙沼に水揚げされた魚を、昔ならではの目利きと技術で職人の手により解体し、冷凍ではなく新鮮な生の状態でお店へ並べています。
あ、マグロ専門店カネマ専務の小野寺和則さんがいらっしゃいました!
小野 「小野寺さん、今日はよろしくお願いします!さっそくお写真撮らせてください!」
カネマ小野寺さん(以下、カネマ)「撮られるの苦手なんだよ〜」
とてもお茶目な方です。つられて笑ってしまって写真ブレてしまいました。
●おいしい・新鮮なメカジキの見分け方を教えてください
カネマ「ややピンクがかった白みで濁りけがない色のものを選ぶといいね。あとは“血合い”と呼ばれる身にある赤い点や筋が小さいものを選ぶといいです」
小野 「なるほど!このメカジキのブロックも血合いの面積が少ないですね」
カネマ「厳密には部位や、カットをする時のバランスによって多少の差は出るんだけど、基本鮮度が高いとこの血合いの面積は小さいんだよ。鮮度が落ちてくると広がるんだ」
小野 「血合いで鮮度を確認することができるんですね。初めて知りました」
カネマ「あとは、丸々とした身のものを選ぶことかな。脂ののってる証拠だよ」
●寒くなるほど風味を増すメカジキ
小野 「メカジキは今が旬とお聞きしたのですが…」
カネマ「寒くなる程脂ののりがよくなるからね。メカジキ自体は通年水揚げされてて、夏場のものは“夏メカ”といって、あっさりとした味わいが魅力でね。逆に今の時期から3月にかけて水揚げされるものを“冬メカ”といって、脂ののった濃厚な旨味を楽しむことができるんだ」
小野 「季節ごとの旬の味を楽しめるんですね。贅沢だな〜」
カネマ「そうだね、どの時期に食べてもおいしいよ!ちなみに脂をたっぷり蓄えた冬メカだけど、身を切った包丁が脂で切れ味が変わるくらい濃厚な旨味がのってるんだよ」
小野 「そんなに…!もはや魚というか獣の肉のようですね…!」
●栄養満点の健康食材
小野 「メカジキはどんな栄養があるんですか?」
カネマ「カリウムやビタミンD、抗酸化作用のあるビタミンEなど、健康食材と呼べるくらい、体に嬉しい栄養がいっぱい詰まっているよ。コレステロールや中性脂肪を抑えたり、記憶力の向上に効果があると言われているDHA・EPS なども豊富だね」
●ハーモニカはどこに位置する部位?
小野 「“ハーモニカ”という部位になじみがなくて…。気仙沼では昔からメジャーな部位なんですか?」
カネマ「そうだね、地元では昔からよく食べられていたよ。最近はメディアに取り上げられたりして少しずつ浸透してきているけど、知る人ぞ知る食材だったのかもね」
小野 「名前も独特ですよね。由来があったらお聞きしたいです!」
カネマ「いや、気付いたらそう呼ばれていたね(笑)諸説ありだけど、この形がハーモニカっぽいから、とか、食べる時にしゃぶりついてる様子がハーモニカを吹いている様子に似ているからとか言われているみたいだよ」
小野 「なるほど…!ちなみにどこに位置するのでしょうか?1匹からどれぐらいとれるのかも気になります」
カネマ「よく動く背びれとしりびれの付け根部分から、1つずつとれるよ」
カネマ「ハーモニカは身がしまっていて肉厚。ゼラチン質のプルプルとした歯ざわりも楽しいよ!ねっとりした旨味がなんとも言えない。ハーモニカはシンプルに塩焼きにしても、煮付けにしてもいいね」
小野 「聞いているだけでヨダレが出そうです(笑)。1匹からどれぐらいとれる部位なのでしょうか」
カネマ「1匹からとれる割合は約1%だね」
小野 「1%!希少ですね…!」
カネマ「県外や他の地域から買い物に来てくれる方たちがメカジキを買う場合は、ステーキにして食べるイメージが強いからブロックの方を買われていくんだけどね。ハーモニカにはハーモニカにしかない旨味が凝縮されてるから、これから魚介のお土産やお取り寄せを考えている人にはぜひ、ハーモニカもオススメしたいね」
●地元気仙沼の人たちにとって、メカジキはどういう食材?どういう存在?
カネマ「一言で表すなら“ソウルフード”。1匹まるっと余すところなくおいしく食べることができて、出汁もとれる。気仙沼では年中獲れるし、いつでも自宅の冷凍庫に常備されているような存在だな。煮てよし、焼いてよし、刺身で楽しんでもよし、どんな調理方法にもマッチするのもいいよね」
小野 「ソウルフード!それだけ身近な食材であり特別な存在なんですね」
カネマ「そうだね、1匹あればたくさんの人がお腹いっぱいになれて、余すことなく食べられるから、昔から家族や近所で分け合う“分け魚”といって親しまれていたんだ」
小野「“分け魚”。当時の人々の暮らしや、人と人とのあたたかな繋がりが伝わってくる、なんとも素敵な言葉ですね。ありがとうございました!」
カネマさんでは月に1度、解体ショーも行っているそう!ぜひお出かけの際はチェックしたいですね!
次回「メカジキ編2/2」では、1/2でご紹介仕切れなかったメカジキのそれぞれの部位についてふれていきます!
- 店舗情報
- マグロ専門店カネマ
- 所在地
- 直営店 宮城県気仙沼市田中前2-12-3さかなの駅内
- 営業時間
- 8:30~18:00
- 定休日
- 年内無休
- 問合せ
- 直営店 0226-24-5110
- HP
- カネマホームページ
最新の情報については各問い合わせ先にお問い合わせください。